マラ族について紹介!
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
神崎です。
今日は、私たちのコーヒー産地、ライレンピーに住む「マラ族」についてご紹介します。
多民族国家の中でも、一番多民族な地域
ミャンマーには、135の民族がいると言われています。それだけでもかなりすごい数なのですが、135のうち53の民族がチン族の系統になります。多い!!
チン族の人口は少ないですが、民族は細分化されています。チン州は山岳地域なので、村と村が遠く、外の人との交流が起こりづらい環境があるからだと考えられます。隣村に行くにも歩いて数日かかったり、言葉がよく通じないということがあるような場所なのです。ひとつの民族のなかでも言語や文化が少しずつ異なっており、”チン州の少数民族”と一括りにすることはできません。
マラ族について
居住地:いろいろ
ライレンピーには「マラ族(Mara)」という少数民族が暮らしています。ライレンピーだけでなく、チン州全土やラカイン州、ヤンゴン、インドのミゾラム州にも住んでいます。外国に出稼ぎに行った人や難民など、欧米に住んでいる人もたくさんいます。
欧米にいる親戚からの仕送りで、学費や生活費を賄っている家庭もあります。貧しい地域ですので、仕送りなしには生活が成り立たない状況にあるのです。現金収入がなかなか得られないチン州の暮らしとは違い、欧米では食べ物が豊富で、さまざまな仕事があり、交通の便や通信環境も良いいので、多くの人が憧れています。
宗教:キリスト教
マラ族は古くから精霊信仰でしたが、1907年にイギリス人宣教師が布教に訪れ、それ以来キリスト教を信仰するようになりました。キリスト教が広まってからは住民同士の争いが減り、農業や狩りで協力することが増えたといいます。
現在はMara Evangelical Church(MEC)という教会が中心となり、地域の開発に力を注いでいます。MECはとても大きな組織で、本部がライレンピー、支部がミャンマー各地やインドなどにもあります。MECが中心となり、各地域に住むマラ族の繋がりが保たれています。
言語:マラ語
マラ族はマラ語という言葉を話します。チベット・ビルマ語族に属します。ミャンマー公用語のビルマ語とは違い、アルファベット表記で文法・発音も複雑です。
チン州内にはマラ族が居住する村が53村ありますが、あちこちに点在しているため、マラ語の中でもいろいろな訛りが生まれました。場合によってはお互いの言葉がほとんど理解できず、会話にならないことも・・・。
教会があるためか、ミャンマーの他地域に比べて、英語が上手な人が多い印象です。マラ語、ビルマ語、英語の3つの言語を自由に操る人もいます。
仕事:焼畑、狩猟中心の自給自足の生活
先祖代々、移動式焼畑農業や、狩猟を中心とした自給自足の生活を送ってきました。しかし近年は、地力が低下して収量が減っており、自給自足が成り立たない農家がほとんどです。食事は基本的に1日2食で、1食あたりの量も十分ではありません。特に栄養に気を付けなければいけない妊産婦や乳幼児も偏栄養・低栄養になってしまいます。
収穫した農作物を家庭で食べ、余ったものを販売して現金収入を得る、というのが理想ですが、販売できるほどの収量はありません。現金収入を得られる機会は、近くで道路工事などがある場合に日雇い労働に参加することくらいで、非常に限られています。
狩りでは、イノシシやカモシカ、キョン、サンバー、サル、鳥、リスなどを猟銃やパチンコで獲ります。狩りは男性の仕事で、女性が一緒に行くことはありません。狩りは基本的に”チームプレー”です。数人のチームが森の中に散らばり、獲物の行く手を阻むのです。近年は大規模な焼畑による森林消失で野生生物が減り、狩りで得られる獲物も減ってしまいました。
文化:圧巻の手織り布&伝統舞踊
マラ族の伝統衣装は手織りの布で作られています。この手織りの布が、とても美しい!!多くの布マニアが欲しがる、超レアな布なのです。
「腰機織り」と呼ばれる手法で、床に座って足を伸ばし、腰にまわした帯で糸を強く引っ張ります。糸が緩まないように、織っている最中は常にこの体勢でなければなりません。指先で模様を作っていく作業は熟練者にしかできない技。習得するには10年以上かかります。
1人分の女性用衣装の布を織るだけで数か月かかります。手間がかかり、量産もできないので、その分お値段も高い・・・。外国に移住したマラ族からもしょっちゅう注文が入ります。農作業や家事、水汲み、子守りをしつつ、空いた時間に機織りまでするマラ族の女性は、本当に強いです!
マラ族の伝統舞踊は、竹を使った踊りです。”踊る人チーム”と”竹を動かす人チーム”に分かれます。竹は縦と横に置き、音楽に合わせて左右に動かします。踊る人は、小刻みにジャンプしながら動く竹をよけつつ、上半身はまた別の動きをせねばなりません。なるべく足元を見ないよう、感覚を頼りに足を動かします。初心者には全くできない動きです・・・
引っかかったらスネに当たって痛いし、目立つので恥ずかしいです・・・。踊る時間の長さはさまざまですが、長い場合だと10分以上にもおよびます。
秘境ライレンピーに暮らすマラ族の紹介でした!
初めての研修!熱心な参加者たち
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
柴田です。
今日は、現地の人たちの研修の様子をご紹介します。とても熱心に研修に参加してくださり、こちらがびっくりするほどでした。
誰も行かない辺鄙な場所、ライレンピー
私たちの団体は2003年からミャンマーのシャン州で事業を始めました。このコーヒープロジェクトをやっているチン州では、2018年から事業を始めています。会の中では先輩シャン州とこれからのチン州という感じです。
そんなチン州は以前の記事でも書いたように非常にアクセスが難しい場所です。そのため活動している団体も非常に少ないです。事業地に行くまでに数日かかるライレンピーは、なおさら活動団体が少ないのです。
初めての研修にやる気満々の参加者たち
チン州で事業を始めて最初の研修がコーヒー研修でした。日本からの専門家に来ていただき、2回にわたり研修を行いました。その時に感じたのが、参加者の熱心さです。正直驚きました。
こちらが研修を開催しておいて何ですが、参加者になぜそんなに熱心なのかと聞いてみました。
そうすると
「私たちのところでは一度もこのような研修は受けられませんでした。研修を受けに行くにも、町までの道がなく、研修を受けたくても受けられなかったんです。だから、こうやって研修を受けられるのはとっても嬉しくて、この機会にできる限りいろんな知識を習得したいんです。」
と教えてくれました。
ちなみに、この参加者さんは自分の村から片道4時間かけてライレンピーの町まで研修を受けに来ています。4時間かかる道も、たった2年前に開通したばかりだとか!
(距離感の概念が違いすぎる・・・)
この言葉を聞き、納得すると同時に何としてでもコーヒープロジェクトを成功させたいという気持ちも湧いてきました。また、今まで事業をしていたシャン州とは異なる住民の生活の厳しさを目の当たりにした時でもありました。
この時熱心に研修を受けていた方々は、今多くの人がコーヒー栽培を実践しています。皆さんにお届けできるコーヒーも、そんな方々が栽培したコーヒーです。
コーヒーは神様からの贈り物?
地球市民の会が推進している農法は、「アグロフォレストリー」農法です。今ある森を守りながら現金収入が得られるコーヒーを育てる方法です。また、換金作物となるものもコーヒーだけではなく、マカダミア、コンニャク、モリンガなども植えていきます。
この作物について、研修で話し合いました。ある村の人は、「コーヒーは貧しい我々に神様が授けてくれた作物だ」と言っていました。
しかし、コーヒーは魔法の作物ではありません。もちろん世話をするのは自分たちだし、時には不作の時もあるでしょう。ひょっとしたら世界的なコーヒー価格が暴落することだってあるかもしれません。
コーヒー産地を作るといっても、コーヒーだけに依存した状況を作るのは、当会が目指しているところとは違います。
そのような話を丁寧に説明しながら、ここではコーヒー以外にどういう作物が適していて、自分たちは何を植えたいのか?ということを考えてもらいました。
話し合いの中で出てきたのが、マカダミアやモリンガ、バナナ、チャなどです。それらの作物を等高線に沿って植えていくことになります。「あれの方がいいよ!」「これがいいよ!」と話す姿はとても楽しそうでした。(彼ら同士で話すときはビルマ語を使わずマラ語を話すので、想像なのですが・・・)
最後にチームごとで発表をしてもらいました。どのチームもよく考えられていて、実践しているところを見るのが楽しみです!
コーヒー苗の育て方
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
柴田です。
今日は、ライレンピーで実践しているコーヒー苗の育て方についてお伝えします。
ライレンピーコーヒーはアラビカ種
コーヒーにはアラビカ種とロブスタ種があるのはご存知のお方が多いのではないでしょうか。
ざっくり言うと、こんな感じです。
- アラビカ種:高地、栽培が難しい、味や香りが良い
- ロブスタ種:低地、栽培が易しい、苦みと渋みが強い
コーヒーの種類について、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
ライレンピーではアラビカ種の中からいくつかの品種を選んで栽培しています。
ミャンマー国内のコーヒー会社などに協力をいただいたり、購入したりして豆を手に入れました。ライレンピーは輸送が本当に大変な場所なので、豆を運ぶのがとても大変でした。
発芽ベッドづくり
入手した豆は、手作りした発芽ベッドにまきます。この発芽ベッドは作業がしやすいように、そして、土から離して病気や虫になるのを防ぐために、腰ぐらいの高さで作ります。竹などで枠を作り、そこに砂を入れます。
枠づくりは、現地の人にとってはお手のもの。ですが、砂を手に入れるのがこれまた大変で、遠くの河原から運んできました。
苗ポットへ移し、苗床へ
発芽ベッドで発芽させたものを、苗ポットに移します。根が曲がっているものや健康状態が悪いものは、ここで取り除きます。健康な苗を作るためには、ここでしっかりと選別することが大切です。スタッフは「もったいないし、苗がかわいそうだと思うけど、心を鬼にして取り除きます!」と言っていました。
そして遮光ネットを張った苗床で育苗をします。水やりをはじめ、陰の調整、葉色のチェック、病気苗の隔離などいろいろとやることがあります。
ぼかし肥の材料集めも一苦労
コーヒー苗のためだけではないのですが、ライレンピーのセンターではぼかし肥を作っています。
ぼかし肥とは、米ぬか、油の搾りかす、土、もみ殻、鶏糞、灰などを混ぜて発酵させて作ります。発酵させる段階で微生物が大量に発生し、40度以上まで温度が上がります。ホカホカと湯気が立つほどです。
ぼかし肥を使うことで、作物の生育を促すことができます。私たちの農法では、化学肥料を使わずに、微生物の力を生かしたぼかし肥を使用しています。
ぼかし肥を作るには、米ぬか、油粕、鶏糞などが使われるのですが、ライレンピーはどれも手に入りません。
日本の有機農家だったら、畜産場から糞を無料でもらってきたり、精米所から米ぬかをもらったりと無料や安価で集めることができる資材も、ミャンマーではすべて有料です。
これまで私たちが活動してきたシャン州でも、有機資材は農家が皆使用するので、有料で購入しなければなりませんでした。チン州は、資材集めがシャン州以上に大変でした。
- 米ぬか:籾すりや精米は、杵と臼を使って食べる分だけ。大きな精米所などはありません。なので、米ぬかが集まりません。
- 油粕:そもそもチン州の料理は油の使用量が少なく、油糧作物も作っていません。なので、油の搾りかすがありません。
- 鶏糞:地鶏を放し飼いにするのが主流なので、養鶏場からまとまった量の鶏糞を手に入れることが不可能です。
それでも作物のため・・・と牛糞、米ぬか、草木灰などを何とか集め、ぼかし肥を作りました。ぼかし肥は、コーヒーの苗にも、他の作物のためにも使っています。大きくなぁれ~!!
アグロフォレストリーの試み
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
柴田です。
今回は、こちらの記事の続きです。
「森を焼く」から、「森をつくる」へ - ミャンマー・チン州コーヒープロジェクト(仮)
環境も守り、人々の暮らしも豊かにするには
前回の話は、村の人が畑にするために森を焼いてしまった。森を焼いてできた畑から収穫できたのは、ジャガイモがほんの少し・・・。それに憤慨するエリート医師の話でした。
「環境も守りつつ、人々の暮らしも豊かに」
そんな夢みたいな方法は、ないのでしょうか?
「森のコーヒー」という答え
アグロフォレストリーとは
アグロフォレストリーとは、樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業のことを言います。日本語では森林農法などと呼ばれています。
アグロフォレストリー(Agroforestry)は、農業(Agriculture)と林業(Forestry)を組み合わせた言葉で、1970年代から使用されるようになりました。
熱帯雨林地域の従来の農業では、森林を伐採して農地や牧場を確保する方法が主流でしたが、その影響で土地が広範囲にわたり荒廃しました。こうした中、荒廃地を再生する方法として注目を集めたのがアグロフォレストリーです。
成長サイクルが異なるさまざまな植物が共存する森林の本来の在り方にならい、複数の農作物を栽培・収穫(混植農法)しながら、森林再生を目指す方法を指します。
現地住民の農業による収入向上はもちろん、森林再生による生物多様性の保全や地球温暖化防止にも貢献できるとして期待されています。
コーヒーはアグロフォレストリーに向いている
熱い男、ウ・ザベッタンが故郷で植えたいと考えていた作物が、コーヒーでした。
一般的なコーヒーのプランテーションでは、きれいに整備されたコーヒー農園に、コーヒーをたくさん植える方法をとります。管理がしやすいように、均一な感覚にコーヒーを植えます。
しかし、アグロフォレストリーでは、すでにある森の中にコーヒーを植えたり、コーヒーと一緒に森を作ったりするのです。イメージは「森の中に自由に生い茂るコーヒー」。
実は、コーヒーは日陰を好む植物ですので、アグロフォレストリーととても相性が良いのです。
コーヒーを植えることで、森も人も幸せになれる!!
ということで、コーヒーのアグロフォレストリーを事業として進めることになりました。
森はそのままに、森の中に植えたコーヒーから収入を得ます。コーヒーは、大切に育てれば何十年ももちます。
植えたいものは全部植える
現地の人たちにコーヒー研修をする際、日本人のコーヒーの専門家に入っていただいています。研修の際、専門家の先生が農家さんに聞きました。
「こうやって山の斜面を畑にするとして、何を植えますか?」
農家さんは答えます。
「コーヒー!」
「バナナ!」
「マカダミア!」
「ジャガイモ!」
「コンニャク!」
先生は「そうですねー。では全部植えましょうか!」と言って、畑の計画を立て始めました。
ささやかな幸せを夢見て
私たちの進めるアグロフォレストリーでは、プランテーションで作るコーヒーのような大きな収入にはならないかもしれません。しかし、コーヒーからの収入で、1人でも2人でも子供が学校に行けるかもしれない、病気になった時に躊躇せずに診療所に行けるかもしれない・・・。
そんな期待を胸に、このアグロフォレストリーの試みは始まりました。
農業センターって何やっているの?仕事内容を紹介!
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
神崎です。
地球市民の会は、チン州のライレンピーに持続開発研修センターを建設しました。このセンターを拠点として、循環型農業の指導やコーヒーの普及活動などを行っています。
今日は、ライレンピー持続開発研修センターの仕事について紹介します。
センターの一日
朝8時半に出勤してから夕方17時まで、バタバタと忙しく過ごしています。スタッフは全部で6名!スタッフについては、こちらの記事で紹介しています。
水やり
約2.4ヘクタールのデモファームでは、キャベツ、トマト、ケール、アボガド、イチゴなどなど、様々な作物を育てています。何万本ものコーヒーやマカダミアなどの苗もあり、スタッフ全員で水やりをしても1~2時間はかかります。
堆肥づくり
デモファームで使うためのボカシ堆肥や土着菌堆肥をつくっています。材料となる腐葉土集めるために森とセンターを何往復もし、牛フンは遠くの村から運んで来ます。材料集めはとても苦労しますし、他の地域に比べて輸送費がかかるのでコストが高くなってしまいます。
日本の有機栽培の資材は、無料で手に入ることが多いです。牛糞やもみ殻など、処理するにもお金がかかるので「無料で持っていっていいよ」と言われることがありますが、ミャンマーではすべて有料。多くの人が農業で使用するために、お金を払って購入する必要があります。道が悪く運搬も大変なので、資材集めに苦労しています。
害虫対策
無農薬・無化学肥料で栽培しているため、虫がたくさん発生します。その対策として、竹酢液など自然由来の忌避剤をつくって散布しています。それでも寄ってくるしぶとい虫は、一匹ずつ手で取り除かねばなりません。
コーヒー加工の特訓
コーヒーの加工を本格的に始めるのはまだ先ですが、近隣の家の庭でとれたコーヒーチェリーを買い取り、加工の特訓をしています。これまでは時間や温度を記録するという習慣がありませんでしたが、高品質なコーヒーがつくれるよう、こまめな記録を心掛けています。
研修(センター、村、学校)
3タイプの農業研修(3日間、7日間、1ヵ月)と栄養研修を定期的に実施しています。農業研修では、センターに宿泊しながら、座学と実践の両面からみっちり学びます。遠方から数日かけてバイクで参加しに来る農民もいます。栄養研修は女性を対象とし、三大栄養素などの基礎から、妊産婦や乳幼児の栄養についても指導しています。
研修はセンターだけでなく、時には村や学校に出かけて実施することも。事情があってセンターまで来ることが難しい人もたくさんいます。なるべく多くの人に研修を受ける機会が生まれるよう、スタッフたちは悪路の長時間移動にも負けずに頑張っています!
地元メディアに取材されました!
「森を焼く」から、「森をつくる」へ
ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)
柴田です。
今日は、ライレンピーの焼畑農業について書きたいと思います。
焼畑農業の現状
本来は持続可能な農法
ミャンマーの森林率は1990年の60.1%から2010年の48.6%、2015年の44.5%と減少の一途をたどっています。
ライレンピーがあるチン州では、元来広く移動式焼畑農業が行われてきました。焼畑農業と言うと、悪いイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、移動式焼畑は、きちんと休耕期間をもうけて土地を休ませていれば、持続可能で優れた農法なのです。
人口増加で崩壊寸前の焼畑システム
しかし、現在は人口増加に伴う耕作地不足のため、過剰な焼畑が行われています。十分な休耕期間をとれずに土地が酷使され、大規模な森林破壊と地力の低下を引き起こしています。
地力が低下すると、十分な食糧確保が困難になります。地域の人たちの実感としては、以前の半分~6割の収量になってしまったということでした。
また、焼畑にするための土地が近くにないため、畑に行くまで半日以上も歩いていかなければならないこともよくあります。畑に行くまでに時間がとられ、収量も減ってしまって、自分たちが食べる分の米すら足りない状況。ミャンマーでは1日3食が普通ですが、この地域の人たちは1日2食しか食べられません。
現金収入はほぼ皆無であり、平均年収は約2万円程度です。
焼畑農業は悪?
エリート医師の話
忘れられない話が一つあります。最初にラインレンピーに行った時に聞いた話です。その話をしてくださった方はライレンピーに住んでいます。しかし、彼はかなり特別な存在で、お医者さんでもあり、ローカルNGOの代表でもあります。よく外国へファンドレイズに行っていて、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどなどいろいろな国を飛び回っています。彼はこう言いました。
「とても腹が立ったことが一つある。この周辺はとても深い森でとても大きな木があった。本当に大きな木で、人が何人も手をつないでやっと幹の周りをぐるっと囲えるぐらいだったんだ。そんな素晴らしい木をこの町に住む農民が焼いてしまったんだよ。その木を切って焼いて作った畑から採れたジャガイモはたった3,000チャット(当時の価格で約240円)の価値しかないものだよ?3,000チャットなら、私がいつでもあげるよ。」
この話、どう思いますか?
この話、どう思いますか?確かに何十年もの月日をかけて大きく育った木が大切というのもわかります。そして自然保護の観点からみると、彼の言っていることは正しいのかもしれません。彼はネイチャーラバーなので「自然環境を大切にしなきゃ!」という想いがあるのでしょう。
しかし一方、農民側から見ると、その年の、その日の食事にも困っているのです。どちらを責めるのも、どちらを支持するのも難しい話だと思っています。
環境も、農民の生活も
「環境を守りつつ、農民も生活できる方法はないのか・・・。」
そう考えて出てきた答えが、アグロフォレストリーでコーヒーを作ること。これまで焼畑しかしてこなかった人たちに「森づくり」をやってもらうことは、想像を絶するような大変な挑戦です。しかも、雨季には行くことすらできない大変な奥地で、インフラさえ整っていない場所。
そんな大変な挑戦だからこそ、これまでになかった最高のコーヒーが作れると信じています。
はじめに
ミャンマー・チン州コーヒープロジェクト(仮)
佐賀にある認定NPO法人「地球市民の会」は、ミャンマーのチン州でコーヒーを作るプロジェクトを実施しています。
ミャンマーのチン州は、ミャンマーの中でも最も発展が遅れた地域です。住民は長年焼き畑農業を行って、自給自足の生活を送ってきましたが、人口が増えてきた影響で生活が成り立たなくなってきています。現金収入がほとんどないため、教育や開発など、あらゆる面で困難な生活を余儀なくされています。
そこで私たちは、チン州のライレンピーにて、農家と一緒にコーヒーを作ることにしました。コーヒーを作ることで、以下のことが叶います。
- 現金収入が手に入る
- 焼き畑農業からの脱却
- 森を守ることができる
ただ、コーヒーは売れなければ意味がありません。たくさんの人にライレンピーコーヒーを知ってもらい、味わってもらって、応援してもらいたい!そのためには、ライレンピーのコーヒーについて情報発信をすることが大事だと考えました。だから、収穫前から、このブログで情報発信をすることにしました。
「無謀」すぎるプロジェクト
チン州のライレンピーは、日本から片道3日もかかる奥地。雨季には道路が寸断され、訪問することも叶いません。普通に考えたら、誰もが「ビジネスにならない」と判断して行かない場所なのです。
でも、私たちはライレンピーと出会ってしまいました。ライレンピーの人々と関係ができ、まだ誰も飲んだことがない「秘境のコーヒー」と出会ってしまいました。
コーヒープロジェクトを始動したのは、「誰もやらないなら、自分たちがやろう!」という気持ちからです。初めての挑戦で、わからないこともたくさんありますが、たくさんの方に応援していただいてコーヒープロジェクトを成功させたいと考えています。
最初のコーヒーができあがるのは、2020年12月の予定です。収穫予想量もとても少ないです。たくさん収穫できる数年後に向けて、コーヒーの苗を植えている段階から見守り、応援していく。そんな、気の長く、ある意味「無謀」なプロジェクトに共感いただける方が増えると嬉しいです。
コーヒーアンバサダー制度
このブログで情報発信はしていきますが、さらに関わりたいという方のために、「コーヒーアンバサダー制度」を作りました。月額1,000円の会費をお支払いいただきながら、ライレンピーのコーヒープロジェクトを応援していただくプログラムです。
会員特典(案)は・・・以下のように考えています。
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会員限定のFacebookグループ(オンラインサロン)での活動報告、交流
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産地スタディーツアー(年1回)に参加する権利
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2020年産の激レアライレンピーコーヒーが届く
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コーヒーオンラインイベントに無料参加できる
- 毎月、ミャンマー産の珍しいコーヒーが2杯分届く
月に1,000円。喫茶店でコーヒーを2杯飲む値段で、これまでにない近さで産地を応援できるなんて、ワクワクしてきませんか?
これまでも、フェアトレードやダイレクトトレードなど、コーヒー農家を応援する仕組みはありました。しかし、苗を植える段階から、オンラインサロンで見守りながら応援できる仕組みは、今までなかったのではないでしょうか。
コーヒーアンバサダー制度は、2020年10月1日から開始予定です。それまで楽しみにお待ちください!
コーヒーTシャツ販売!
このコーヒープロジェクトをコンセプトとしたTシャツを現在制作中です。Tシャツを1枚購入すると、700円がこのプロジェクトへの支援金になります。
2020年10月26日より、こちらのページで販売予定です。お楽しみに☆