ミャンマー・ライレンピーコーヒープロジェクト

ミャンマー・ライレンピーコーヒープロジェクト

アグロフォレストリーの試み

ナトゥラマー!(マラ族の言葉で、お元気ですか?)

柴田です。

 

今回は、こちらの記事の続きです。

「森を焼く」から、「森をつくる」へ - ミャンマー・チン州コーヒープロジェクト(仮)

 

 

環境も守り、人々の暮らしも豊かにするには

前回の話は、村の人が畑にするために森を焼いてしまった。森を焼いてできた畑から収穫できたのは、ジャガイモがほんの少し・・・。それに憤慨するエリート医師の話でした。

 

「環境も守りつつ、人々の暮らしも豊かに」

 

そんな夢みたいな方法は、ないのでしょうか?

 

「森のコーヒー」という答え

アグロフォレストリーとは

アグロフォレストリーとは、樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業のことを言います。日本語では森林農法などと呼ばれています。

 

アグロフォレストリー(Agroforestry)は、農業(Agriculture)と林業(Forestry)を組み合わせた言葉で、1970年代から使用されるようになりました。

 

熱帯雨林地域の従来の農業では、森林を伐採して農地や牧場を確保する方法が主流でしたが、その影響で土地が広範囲にわたり荒廃しました。こうした中、荒廃地を再生する方法として注目を集めたのがアグロフォレストリーです。

 

成長サイクルが異なるさまざまな植物が共存する森林の本来の在り方にならい、複数の農作物を栽培・収穫(混植農法)しながら、森林再生を目指す方法を指します。

 

現地住民の農業による収入向上はもちろん、森林再生による生物多様性保全地球温暖化防止にも貢献できるとして期待されています。

 

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コーヒーはアグロフォレストリーに向いている

熱い男、ウ・ザベッタンが故郷で植えたいと考えていた作物が、コーヒーでした。

 

一般的なコーヒーのプランテーションでは、きれいに整備されたコーヒー農園に、コーヒーをたくさん植える方法をとります。管理がしやすいように、均一な感覚にコーヒーを植えます。

 

しかし、アグロフォレストリーでは、すでにある森の中にコーヒーを植えたり、コーヒーと一緒に森を作ったりするのです。イメージは「森の中に自由に生い茂るコーヒー」。

 

実は、コーヒーは日陰を好む植物ですので、アグロフォレストリーととても相性が良いのです。

 

コーヒーを植えることで、森も人も幸せになれる!!

 

ということで、コーヒーのアグロフォレストリーを事業として進めることになりました。

 

森はそのままに、森の中に植えたコーヒーから収入を得ます。コーヒーは、大切に育てれば何十年ももちます。

 

植えたいものは全部植える

現地の人たちにコーヒー研修をする際、日本人のコーヒーの専門家に入っていただいています。研修の際、専門家の先生が農家さんに聞きました。

 

「こうやって山の斜面を畑にするとして、何を植えますか?」

 

農家さんは答えます。

 

「コーヒー!」

「バナナ!」

「マカダミア!」

「ジャガイモ!」

「コンニャク!」

 

先生は「そうですねー。では全部植えましょうか!」と言って、畑の計画を立て始めました。

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ささやかな幸せを夢見て

私たちの進めるアグロフォレストリーでは、プランテーションで作るコーヒーのような大きな収入にはならないかもしれません。しかし、コーヒーからの収入で、1人でも2人でも子供が学校に行けるかもしれない、病気になった時に躊躇せずに診療所に行けるかもしれない・・・。

 

そんな期待を胸に、このアグロフォレストリーの試みは始まりました。